もう23時か、

【文芸】化物語 上・下 [著]西尾維新(243)

1 ◆Robo.gBH9M @ロボ-7c7cφ ★ 2009/11/12(木) 12:42:53 ID:???0
■虚構における「キャラ」とは

西尾維新。その名前を聞いたこともない人もいるだろう。しかし彼は当代一の「売れっ子
作家」なのである。10月の時点で、ベストセラーのトップ100に『化物語(ばけものがたり)』
『傷物語』など5冊が入り、累計部数は約56万部(オリコン調べ)。この打率の高さは
小説家として文句なしにトップクラスだ。

西尾の作品は一般に「ライトノベル」というジャンルに分類される。種明かしをすれば、
その驚異的な売り上げは今夏放送開始のアニメ『化物語』の影響も大きい。

西尾維新は02年、『クビキリサイクル』で第23回メフィスト賞を受賞し、弱冠20歳で
デビューした。若い世代でもっとも才気を感じさせる作家の一人である。

西尾ほど自らの資質と技量を冷静にコントロールできる作家を、私はほかに知らない。
その勤勉さは、デビュー7年にして著書43冊(漫画原作含む)という安定した多作ぶりにも
うかがえる。

「まんが・アニメ的リアリズム」(大塚英志)という言葉がある。漫画やアニメに描かれるような
キャラクターが登場する小説に関する言葉だ。西尾の書く小説は、まさにこうした原理のもとで
書かれている。作り込まれた設定に、属性のはっきりしたキャラクター。文章も「馬鹿な
掛け合いに満ちた楽しげな」(本作上巻あとがき)ものだ。

本作も、阿良々木暦(あららぎこよみ)、戦場ケ原ひたぎ、といった奇妙な名前を持つ
キャラクターたちが、ボケとツッコミを繰り返しつつ妖怪退治を繰り広げる、それだけの話、
ではある。しかし私には、西尾が「虚構において『キャラ』はいかに取り扱われるべきか」という
倫理的問題を、作品を通じて追究し続けているように思われてならない。これもまた現代
文学の先端の一つ、といえば褒めすぎだろうか。

ちなみに本作では「神原駿河(かんばるするが)」というキャラが一番のお気に入りだが、
理由は秘密にしておこう。

    ◇
17刷・計53万部
[評者]斎藤環(精神科医)
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